調査研究事業
JA飛騨ミート輸出事業強化に係る調査研究事業
飛騨ミート農業協同組合連合会(JA飛騨ミート)より委託を受け、GFPグルーバル産地づくり推進事業として実施しています。
JA飛騨ミートは、岐阜県高山市にあり、飛騨牛のと畜・解体・部分肉製造、地方卸売市場として枝肉のせり取引を行っています。
(1)JA飛騨ミートの経営力強化、輸出事業強化に向けた検討 (2020~2022年度)
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飛騨ミートの経営状態と業務構造を整理、と畜頭数の変化やと畜日の変更による施設オペレーションのシミュレーションを実施、実行し、経営全体への影響を分析
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輸出事業に関連する収支項目を洗い出し、輸出事業の効率性の分析
(2)飛騨牛の定義と育種改良の歴史の調査、まとめ (2020〜2022年度)
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飛騨牛の定義を構成する要素、生産地の範囲、その対応について調査を実施しまとめる
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飛騨牛の育種改良の歴史を輸出先国に伝えるパンフレットを作成
(3)JA飛騨ミート創立40周年にあたり、飛騨牛の歴史を作成 (2023年度)
• 飛騨地域では、1950年頃から、旧産地以外で全国に先駆けて、集団的育種・改良に取り組み、但馬
系(資質系)×広島系、岡山系(体積系)の系統間交配を進め、飛騨牛の礎を築いてきました
• さらに、産地内でと畜、枝肉せり取引ができるよう、1950年代から全国に先駆け産地食肉セン
ター、地方卸売市場を整備し、そのデータは育種・改良にも活かされてきました
• これらの歴史を『飛騨牛の歴史:育種・改良と産地流通体制』にまとめました
地域圏食料プロジェクトにむけた調査、検討会
地域圏内のフードシステムの状態を調べると、地域に密着して生活を支えてきた小売店や食品事業者が減少したり、経済格差が拡大し、良質の食品を得にくい人々が増えていることがわかります。
その状態は地域によって異なるので、地域の状態を調べ、問題がどこにあるのかを把握し、それをもとに議論して、解決策を見つけ出すことが求められます。
そのためには、地方自治体の関係部局が連携し、研究者の協力も得ながら、議論することが必要です。
地域圏とは
地形などの自然条件や人間活動のまとまりのある空間、をさします。
フランスでは、テリトワール(teritoire)と呼ばれます。
詳しくは下記をご覧ください
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新山陽子・大住あづさ・上田遥(2001)「フランスにおける地域圏食料プロジェクトと地域圏フードシステム-トゥルーズ・メトロポルの事例を踏まえて-」『フードシステム研究』第28巻第1号、29-45頁
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新山陽子「地域圏フードシステムの構築―フランスの地域圏食料プロジェクトから日本のあり方を考える」季刊『農業と経済』2021Autumn、2021年11月、29-45
現在、京都市の関係部局でプロジェクトを進めるべく、議論が始まり、その事務局を努めています。
2021年8月から2022年1月に、関係部局の施策のヒアリングを行いました。京都市の関係部局は、産業観光局(農林振興室、京都市中央卸売市場第一市場、第二市場)、保健福祉局、子ども若者はぐくみ局です。
このようなヒアリングを、農林水産省有志の方々と研究者とで合同研究会を設け、神戸市や洲本市でも行いました。結果と日本の課題を『地域食料ビジョン研究会報告書』にまとめています。農林水産省HPに掲載されています。
フランスでは、このような取り組みが「地域圏食料プロジェクト(PAT)」として各地で進められています。
PAT (Territorial Food Projects)とは
地域圏内のフードシステムを強化するためのプロジェクトです。地域圏の公共団体が主導することが多く、圏内のフードシステムを構成する専門職業者らを集め、現状を診断し、課題を抽出し、行動計画を立てて取り組むものです。
詳細は下記にまとめられています。ぜひ参照ください。
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新山陽子・大住あづさ・上田遥(2021)「フランスにおける地域圏食料プロジェクトと地域圏フードシステム-トゥルーズ・メトロポルの事例を踏まえて-」『フードシステム研究』第28巻第1号
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季刊『農業と経済』2021年秋号「地域圏フードシステムーフランスを手掛かりに、都市の食を構築しなおす」英明企画編集発行(英明企画編集のHPより注文できます)
このような取り組みが日本でも各地で進むよう、食料政策が人々のための食料政策として整えられるよう願っています。
2022年度〜現在
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地域圏でのプロジェクト実現に向けて、京都市を先行事例とし、関係部局が集まり、議論を開始
2021年度
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地域圏フードシステムの強化方策について検討するため、学識者と農水省有志との共同研究会(地域食料ビジョン研究会)に参画
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調査の一環として、京都市各部局の施策、中央卸売市場関連事業者にヒアリング調査を実施
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神戸市、洲本市でも、農水省や研究チームにより同様の調査を実施
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3市の調査結果、フランスのPATに照らして日本の課題をまとめる(結果を上記報告書にまとめる)
2020年度
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フランス・トゥールーズのPATについて現地調査、論文投稿
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京都市関係部局の方々と意見交換、京都市における取り組みに向けて議論
食生活・食環境研究会
京都および神戸市民の食生活・食環境の実態把握を進めています
2023~2024年度
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調査結果を分析中で、2024年6月のフードシステム学会で一部を報告しました
2022年度
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研究会を重ね、調査票を作成し、Web調査を実施しました
フランスのEgalimⅡ法に関する調査研究
フランスでは、二つの法が制定され、生産費を考慮した公正な価格形成を進め、生産者の報酬を保護し、フードシステムにおいてバランスの取れた価値の配分がめざされています
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2018年10月Egalim法(農業食品産業における取引関係均衡と健康的・持続的ですべての人にアクセス可能な食料のための法)
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2021年10月EgalimⅡ法(農業者の報酬保護のための法)
日本のフードシステムにおける公正な取引と価格形成のあり方を考えようとしています
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EgalimⅡ法の内容をまとめ、農林水産省勉強会で報告(大住)
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2022年9月末に農水省杉中淳総括審議官、吉松亨参事官らと共同で、フランス農業・食料主権省や専門職業間組織、DGCCRF(競争・消費・不正防止局)などのヒアリング調査を実施(新山)ちょう
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調査結果をもとに研究ノートを取りまとめ、『フードシステム研究』第30巻2号に掲載(新山・杉中・大住・吉松共著):日本の課題についても提示 (下線部をクリックするとアクセスできます)